アートツーリズムフィールドワーク

2021年10月28日に実施した下山発電所美術館と11月11日に実施した黒部市美術館でのアートツーリズムをテーマにしたフィールドワークの報告です。

下山発電所美術館

 下山発電所美術館は大正十四年に建設され十五年から平成十六年まで発電所として稼働していました。平成十九年から入善町が発電所を買い取って美術館として再活用し始めました。作品展示をする中で職員の方が意識されていることは発電所を生かして大胆に作品を作れる40~50代の脂がのった作家さんの企画展を行うことです。過去には館内に水を張るという作品もあったそうです。元発電所だからこそ見ることのできる作品は来る人を驚かせるほど圧巻です。平均来客数は1200人程ですがコロナ以前にはアジア系外国人も訪れ、最大ではヤノベケンジさんの作品時で8000~9000人が訪れたそうです。今回の市川平さんはもともと彫刻家として活動をされていました。ですが、活動をしていく中で他の作家さんの作品とともに照明作家としての活動が多くなったそうです。そこに目をつけた職員の方が市川さんの彫刻と照明を合わせた今と昔のセルフコラボ展を提案したことから始まりました。ドームの作品は2002年に彫刻家として制作したものだそうです。ドームに電車を模したものを入れることで十九年前の作品と現在の作品をコラボさせているため空間全体で時の流れを味わうことができます。

 発電所だからこそ型にとらわれていない大胆な作品を見ることができるのがこの美術館の良さです。高い天井からオブジェを吊り下げたり、ぽっかりと口を開ける導水管に光のアートを仕込んだりと、水を流すなど普通の美術館にはなかなかできない使い方もできて、見たことのないアートを生み出すことができます。最初は、発電所から美術館とどのように繋げることができるのかと不思議に思いました。しかし、発電所の跡地を利用したならではの魅力があると感じました。私たちが鑑賞した、光の作品はとても写真映えするものでクラスの中で評判でした。撮った写真をSNSに投稿することで多くの人に魅力を伝えることができると思いました。

黒部市美術館

黒部市美術館は平成6年に設立されました。

近くには、自然に囲まれた公園と総合体育館もあります。

私たちが鑑賞したのは、「蜃気楼か。」という山下麻衣さんと小林直人さんの作品です。2人の作品は私たちに人と自然の関わりについて教えてくれるものでした。

まず、最初に見た作品は自然が浸食しつつある集落を自転車で走るという作品です。

この作品のキーポイントは変化です。まず、自転車の車輪に写る文字が変化します。人と自然、人が自然、人の自然…。助詞によって、意味が変わってきます。次にバックに写る景観が変化します。これらよりこの作品は、人と自然の揺らぐ境界でどこからが人でどこからが自然なのかを考えさせてくれます。そして、何のへんてつもない風景にメッセージを入れることにより歴史や風景の見方を教えてくれます。

身近に感じる自然でも捉え方によって意味が変わってきます。

私たちが住むこの町にどんな自然があるのか、関係があるのか、発見し、新しい見方で捉えてみるといいかもしれません。

次に見たのは蜃気楼の作品です。この作品は私たちだけで作れるアートではなく自然が生み出す現象が必要になります。蜃気楼の展示はリアルタイムで映像が流れているので同じものがなく、常に変化し続けます。蜃気楼が見えるか見えないかは運しだい。これは、来場客を楽しませることができる仕掛けだと思います。また、当日見ることができなくても美術館のサイトから蜃気楼をリアルタイムで見ることも出来るので家でも楽しむことができます。この作品にはたくさんの人が携わっています。地元の人は冬は蜃気楼が出ないと思っていたそうです。だからこそ、蜃気楼が出たときは、新しい発見と喜びが味わえると思います。あまり注目されていなかった下位蜃気楼を紹介すること自体がツーリズムとなりえるのではないでしょうか。

まとめ 

二つの美術館を訪れてみて、作品によってテーマがあり、作った人の個性や思いが作品に込められています。自然や光がテーマのアートは費用が多くかかります。しかし、時間と労力さえあれば無限につくることができます。

一回目は自分で見て感じ、二回目は学芸員さんの話を聞いてさらに深めることができ、また新しい見方で作品を楽しむことができました。作品には作る人の思いが隠さています。そのため、いかにどう読み取るかが大切になってきます。まず、読み取り自分で考え、他者と意見を交換し考えを広げることがこれからの私たちに大切なことだと思います。

M. S., M. H., M. N., M. M.